※本編前




 この世界は汚い。リボンズ・アルマークはいつもそう思うのだった。
 イノベイターまで進化できない人類、醜い争いを意味もなく続ける人類。彼らは一体何を目的で、何を到達点と考えているのだろう?彼らのたいせつな、権力や財力や軍事力さえも宇宙をもとに考えればちっぽけなものでしかない。何の力にもならないというのに。
 宇宙は広い。世界は狭い。こんな漠然とした答えを、人類は導きだせない。神は何のためにひとに知能をあたえたというのか。
 リボンズは、ソレスタルビーイング、ガンダムマイスター、それらがその疑問の答えなのだと考えている。人類に課せられた疑問と、使命。
 ただしその答えは人類の人類の中での答えでしかないのだった。醜い彼らの答えならば答えも醜い。永遠の課題のまま、堂々巡りの答え。だからこの世界は、人類は、自らの手でまとめてやるしかない、他者の介入によってでしかひとは進化も革新もできないのだ。
 クルジスでみた少年の眼が、今も自分の脳から焼きついて離れない。助けを求めて走り回る足と、銃を持つ手と、強い想いの瞳。それはみたことのない輝きをはなっていた。あんなに答えに近いひともいたのだと驚愕した。彼をガンダムマイスターにヴェーダに推薦したのもそんなちょっとした興味や期待からだった。彼がこの世界で生き延びて、ガンダムにのれることが出来たらいいのに、とリボンズは願うように思う。
 今から長い年月にかけて人類にあたえる課題。それをのりこえて、彼らは何かを手にすることができるのだろうか。それは僕らにも、誰にもわからない。ただ僕は僕の手助けを、彼らにじっくりと愛情をあたえてやることだけしか、やることはないのだ。





#僕の愛
110405

リボンズが人類を愛していたらって話










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