※アキト3章のネタバレがあります





 ルルーシュは幾度となく水を欲しがる。
 それはそれは情けないくらに、自尊心を無くした声で。

 ルルーシュが「ジュリアス・キングスレイ」に成り代わってから、彼が水を欲したときに僕は一度だってその男に水を飲ませてやっていない。あまりにも必死に欲しがるもんだから、 そのうちからからに干からびやしないかと眉をしかめるけれど、そういえば「ジュリアス・キングスレイ」のときは自分で勝手にごくごく水を飲んでいるんだった。

 皇族は飲み物の器でさえ普通とは違っていて、大層なかたちをしたガラスの綺麗な水差しが常に備えてあり、いつもそれをグラスに注いで渡してやる。
 僕はその味に一度興味を持って、キングスレイ卿にやるときみたいにこっそりと水を飲んでみた。けれども、僕のうちで飲む水となんら変わりはなかった。 この何の変哲もないただの水を、ルルーシュは今死に物狂いで欲しがっているのだ。なんて考えてたら、飲んだことを(一滴だけ絨毯に垂らしてしまったことも)一層後悔してきた。 こんなにもあっけなく手に入るものなんだよ、嗚呼、 かわいそうなルルーシュ。 哀れなルルーシュ。僕はとっても悪い子だ。




ぼくはわるいこ




150708











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